スタジアムのお金は、クラブへの支援とは限らない
クラブ名と大きな金額が並ぶと、すべてクラブに渡ったお金のように見えるかもしれません。しかし実際には、県から市への改修補助、市民も使うサッカー場の整備、施設管理の対価、観光事業など中身はさまざまです。
そこで、関連するクラブを入口にしながら、実際に誰が払い、誰が受け取り、何に使われたのかを一件ずつたどります。施設を使う人や地域にも目を向けると、金額だけでは見えなかった役割が分かります。
南長野運動公園の改修を県が補助
長野県は2014年度、南長野運動公園総合球技場の大規模改修に5億円を補助しました。お金を受け取ったのはクラブではなく、施設を設置する長野市です。
- 年度
- 2014年度・平成26年度
- 支払主体
- 長野県
- 補助先
- 長野市・施設設置者
- 使い道
- 南長野運動公園総合球技場の大規模改修
確認した一次資料
確認箇所PDF 1ページ、事業番号14 09 16、補助先「長野市」、当初予算額・決算額500,000千円。
市民も使うサッカー場を諫早市が整備
諫早市は2015年度、市のサッカー場を4億4,961万円で整備しました。天然芝コートにはV・ファーレン長崎の優先利用枠がありますが、市民も利用する公共施設です。
- 年度
- 2015年度・平成27年度
- 支出主体
- 諫早市
- 支出対象
- 諫早市サッカー場の整備
- 資料での表記
- 1万円未満の実額は不明
確認した一次資料
確認箇所PDF 3ページ、平成27年度決算の主な事業、「諫早市サッカー場整備事業」4億4,961万円。
確認箇所PDF 62ページ(冊子49ページ)、施設の設置目的、利用状況、倉庫取得価格。
確認箇所主な施設と利用方法、天然芝コートのV・ファーレン長崎優先利用、市民向け使用料。
ベスト電器スタジアムを含む公園の管理事業
福岡市緑のまちづくり協会は2023年度、ベスト電器スタジアムを含む東平尾公園の管理事業に3億3,272万4,000円を使いました。福岡市が協会へ同額を支払ったという記録ではありません。
- 年度
- 2023年度・令和5年度
- 執行主体
- 公益財団法人福岡市緑のまちづくり協会
- 支出先
- 東平尾公園の管理に関わる複数の相手方
- 対象
- ベスト電器スタジアムを含む東平尾公園
確認した一次資料
確認箇所PDF 13ページ(冊子12ページ)、公3 指定管理、東平尾公園事業費332,724千円と2公園分の財源内訳。
観戦と府内周遊を組み合わせた観光事業
京都府は2022年度、試合観戦と府中北部の周遊・宿泊を組み合わせた事業に1,200万円を支出しました。全額が補助金ですが、京都サンガF.C.への支払額を示す資料ではありません。
- 年度
- 2022年度・令和4年度
- 支出主体
- 京都府
- 補助先
- 資料に補助先別の内訳なし
- 使い道
- 試合観戦と府内周遊・宿泊の促進
確認した一次資料
確認箇所PDF 48ページ(冊子43ページ)、スタジアムを核とした地域周遊促進事業、執行額12,000,000円。
仙台スタジアムの運営・維持管理
仙台市は2023年度、仙台スタジアムの運営と維持管理に1億2,121万円を支出しました。光熱水費や委託費を含む施設全体の費用で、ベガルタ仙台への支払額ではありません。
- 年度
- 2023年度・令和5年度
- 支出主体
- 仙台市
- 支出対象
- 仙台スタジアム全体の運営・維持管理
- 資料での表記
- 1万円未満を四捨五入した公表値
確認した一次資料
確認箇所PDF 113ページの施設一覧、PDF 120ページ(冊子116ページ)の仙台スタジアム詳細。支出12,121万円と端数処理の注記。
共同事業体が金沢スタジアムを管理
金沢市は2024年度、金沢スタジアムの管理を担う共同事業体へ8,998万9,000円を支払いました。共同事業体はクラブ運営会社を代表に、ほか2団体で構成されています。
- 年度
- 2024年度・令和6年度
- 支払主体
- 金沢市
- 受取先
- 金沢スタジアム共同事業体
- 使い道
- 金沢スタジアムの指定管理
確認した一次資料
確認箇所PDF 5ページ(Web抽出4ページ)、(4)金沢スタジアム共同事業体、令和6年度指定管理委託料89,989千円。
確認箇所施設概要、指定管理者「金沢スタジアム共同事業体」、代表団体と構成団体。
クラブ運営会社がスタジアムを指定管理
広島市は2024年度、広島サッカースタジアムの指定管理料として5,200万円を支払いました。指定管理者はサンフレッチェ広島の運営会社で、計画額と実績額は同じです。
- 年度
- 2024年度・令和6年度
- 支払主体
- 広島市
- 指定管理者
- 株式会社サンフレッチェ広島
- 使い道
- 広島サッカースタジアムの管理運営
確認した一次資料
確認箇所PDF 1ページ、指定管理者、指定管理料の計画・実績52,000,000円、市への納付実績113,202,000円。
市有スタジアムの改修工事
鳥栖市は2023年度、駅前不動産スタジアムの改修工事2件に3,952万2,000円を支出しました。市が持つ施設の工事費で、サガン鳥栖への直接支出ではありません。
- 年度
- 2023年度・令和5年度
- 支出主体
- 鳥栖市
- 支出対象
- 駅前不動産スタジアムの改修工事2件
- 区分
- 市有スタジアムの改修工事費
確認した一次資料
確認箇所PDF 118ページ、体育施設維持管理経費、スタジアム改修工事2件39,522千円、親事業費44,032千円。
確認箇所令和5年度決算における主要施策の成果の説明書を掲載している鳥栖市公式ページ。
税リーグが施設費を見るときの視点
税リーグは、施設費の大きさだけでなく、その施設が誰にどう使われたかも知りたいと考えます。県から市への補助、自治体が発注した工事、管理業務への対価では、お金の流れが違います。クラブ名が資料に出ていても、施設全体の費用をクラブの受取額に置き換えることはできません。
建設・改修から運営までの見分け方はサッカースタジアムの建設費・維持費と公費、施設費を整理する基準はスタジアム・練習施設の費用の数え方で説明しています。