企業版ふるさと納税は、企業から自治体への寄附
企業版ふるさと納税の正式名称は「地方創生応援税制」です。国が認定した地方公共団体の地方創生事業へ企業が寄附すると、法人関係税の優遇を受けられます。お金を最初に受け取るのはJクラブではなく自治体です。
自治体は寄附を、スタジアム整備、練習施設、地域交流、観光PR、ホームタウン活動などに使います。事業名にクラブ名が入っていても、工事会社への支払、実行委員会への負担金、クラブ運営会社への補助金では、お金の届き先が違います。
寄附がJクラブや施設へ届くまで
- 企業が自治体へ寄附する。寄附日、企業名、寄附額、対象事業を確認します。
- 自治体が歳入として受け入れる。すぐに使う場合と、基金へ積み立てる場合があります。
- 自治体が事業を実施する。補助金、負担金、委託料、工事費など、予算・契約上の形を確認します。
- 決算で実際の支出を確かめる。募集時の目標ではなく、年度内にいくら使ったかを確認します。
企業から自治体へ、自治体から事業の実施先へ。税リーグでは、この2段階を一本の資金の流れとして記録します。
同じ1億円を2回数えない
企業が自治体へ1億円を寄附し、自治体が同じ1億円を施設整備へ支出した場合、公費との関わりは1億円です。寄附の受入1億円と支出1億円を足して2億円にはしません。
基金へ積み立てた後に翌年度以降へ取り崩す場合も同じです。寄附、基金積立、基金取崩、補助金、工事費を別々の出来事として残しながら、一つの資金系列として結びます。詳しくは二重計上を防ぐ集計方法で説明しています。
募集額・申出額・寄附額・決算額を分ける
- 募集目標額:自治体が集めたい金額。実際に集まった額ではありません。
- 寄附申出額:企業が寄附する意向を示した額。納付前の段階を含みます。
- 寄附受入額:自治体が実際に受け入れた額です。
- 予算額:自治体が事業へ支出できる枠です。
- 決算額:年度内に事業へ使った実績です。
同じ年度でも、寄附額と事業費は一致しないことがあります。自治体の一般財源を加える、寄附の一部を翌年度へ回す、複数事業に充てる、といった動きがあるためです。
自治体資料で見る3つの具体例
鳥栖市:6億8,600万円の寄附申出でスタジアムを改修
鳥栖市は「スタジアムリニューアルによる魅力向上プロジェクト」で、Cygamesから事業費全額となる6億8,600万円の寄附申出を受け、駅前不動産スタジアムの支柱・外壁の改修とミュージアムコーナーの整備を行うと公表しました。これはクラブへの現金給付ではなく、市有スタジアムの改修事業です。
今治市:寄附を受け、事業者への補助金にする
今治市は2022年の施政方針で、FC今治サッカー専用スタジアム建設プロジェクトへの寄附の90%を、スタジアム建設費として事業者へ助成すると説明しました。企業から市への寄附と、市から事業者への補助をつないで読む例です。
鹿児島市:寄附企業と事業の決算額を分けて公表
鹿児島市の2024年度実績報告書では、鹿児島ユナイテッドFC活動支援事業の対象事業費を2,122万4,131円としています。内容はユニフォームへの観光PR掲出、実行委員会への負担金、サポートメンバー支援などです。報告書は寄附企業と事業費を分けて示しており、寄附額そのものをクラブの受取額へ置き換えることはできません。
確認する一次資料
- 自治体の企業版ふるさと納税実績、寄附企業一覧。
- 地域再生計画、寄附募集事業の説明。
- 当初予算・補正予算、基金の積立・取崩。
- 補助金の交付要綱、交付先、実績報告。
- 工事・委託の契約結果、決算、主要施策の成果説明書。
探す順番と記録の残し方は自治体の一次資料でJクラブの公費を調べる方法にまとめています。